飛行機・新幹線の換気機能

新型コロナウイルスの発生から「機内/車内の換気機能」が注目されるようになりました。飛行機や新幹線に乗った時、「密閉された空間」と感じる方が少なくないのではないでしょうか。今回は、そのような「密閉空間」という印象を抱きやすい飛行機と新幹線の「機内/車内の換気機能」についてご紹介します。この記事を通して、実はいずれも密閉された空間ではなく、常に新鮮な空気が取り込まれている「非密閉空間」であることを知っていただけると幸いです。

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目次
  1. 飛行機の機内換気機能
  2. 新幹線の車内換気機能
  3. その他の除菌対策
  4. まとめ

1. 飛行機の機内換気機能

飛行機の窓は開け閉めができないようにかなり頑丈につくられているので、外気から一切遮断された空間にいるように思いがちですが、実際は機内の空気は2分~3分ですべて入れ替わるようになっています。しかし、飛行機が飛んでいる上空の空気はマイナス40℃~50度を言われており、そのまま取り込むことはできません。そこで、機外から取り入れた空気をまずコンプレッサーという装置で圧縮し急激に温めます。その空気の一部は旅客機用の空調システムを使って外気との熱交換で冷却したうえ、断熱膨張で体積を増やしてさらに温度を下げます。こうして冷やした空気と、コンプレッサーで温めた空気をミキサーで混合して、客室向けの適温を作り出しているのです。つまり、新鮮且つ適温の空気が常に客室に送り込まれていると言えます。
さらに飛行機には家庭用の空気清浄機や掃除機などでもおなじみの「HEPA(High-Efficiency Particulate Air)フィルター」が搭載されており、これによって0.3μmの粒子を99.97%以上捕集することが可能となっています。日本ウイルス学会によると新型コロナウイルスの粒子は0.1~0.2μmとされており、フィルターの目より細かいということになりますが、かといってそのまま通り抜けてしまうというわけではないそうです。ウイルスのような微粒子には気体中の分子衝突で不規則な揺れが発生しており、フィルターの繊維に接触することで、むしろ捕集されやすくなる仕組みになっています。

2. 新幹線の車内換気機能

ほとんどの方が通勤通学で利用される列車は、一部列車を除き、窓の開け閉めが可能となっているので、換気されていることを視覚的に感じられます。一方、新幹線はどうでしょう。今までに自由に窓を開け閉めすることができる新幹線に乗ったことがあるという方は、おそらくいらっしゃらないと思います。実は、新幹線は高速移動にともなう気圧変動によって、快適性が損なわれないようにするために、あえて窓の開け閉めができないようにつくられているのです。
しかし停車している数分の間で車内の空気がすべて入れ替わるとは考えにくいと思います。そこで新幹線には「空調・換気装置」が必ず備え付けられています。この装置により、新幹線は停車中も、走行中も常に空気の入れ替えが行われているのです。
新幹線の車内への空気の入口は座席の頭上、荷物棚の下にあります。換気装置から空気が取り込まれ、空調装置で冷やされたり温められたりした後に、送風口から車内に取り込まれます。逆に、車内の空気の出口は、座席の下にあります。座席を回転させるときに見える回転機構の奥にある吸気口から、換気装置を経て外に排出されています。
これらの装置によって、新幹線の空気は6分~8分でほぼ全てが入れ替わっています。

3. その他の除菌対策

上記の換気機能は新型コロナウイルス感染拡大前から、元々備わっていた機能ですが、これらに加えて飛行機、新幹線ともに感染予防対策を新たに導入しています。

●飛行機
ここではANAの取り組みを例にご紹介します。飛行機の搭乗前に必ず通過する「保安検査場」では、検温の実施に加え、ソーシャルディスタンスの確保、消毒液・除菌液が設置されています。また搭乗の際は、機内・通路におけるソーシャルディスタンスを確保するため、後方窓側の方から搭乗するように変わっており、優先搭乗も一時中止されています。さらに機内においては、食事や飲料、機内販売のサービスの一部を一時中止している一方で、アルコールシートの配布が行われています。

●新幹線
 新幹線に乗ったことのある方は、停車駅で清掃作業が行われている光景を目にしたことがあるかもしれませんが、新型コロナウイルス感染拡大以降は、この清掃作業に加えて「除菌作業」が加えられています。座席の肘掛けやテーブル、トイレのドアノブ、ボタンなど、特に乗客の方が触れていると思われる箇所については、従来のアルカリ性電解水に加え、次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を使っています。
 さらに注目されつつあるのが、新幹線のeチケットサービスです。新幹線の切符と言うと、みどりの窓口に並んで購入するか、あるいは駅の自動券売機で購入するかのいずれかを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし実は新幹線も飛行機と同様にチケットレス乗車が推奨され始めています。このサービスはあらかじめ登録した交通ICカードを自動改札機にタッチするだけなので非常に簡単です。チケットレスにすることで、購入する際の接触を防ぐことができるだけでなく、スマートフォンやパソコンからいつでもどこでも切符を購入でき、紙媒体の切符を管理する必要もなくなるというメリットもあります。
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4. まとめ

今回は換気機能に加え、飛行機、新幹線それぞれの感染予防対策について触れました。密閉の印象から利用を避ける方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事を通して、いずれも優れた換気機能が備わっていると知っていただき、個々人での対策の上で安心してご利用いただければ幸いです。

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※本書の内容は、本書執筆時点(2022年11月1日)の内容に基づいています。

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